「爆買い」、反発する香港(反発は国内から)
中国の正月である春節、日本では中華圏からの旅行者による「爆買い」が連日報道されました。生でその光景をご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。 炊飯器・温水便座・掃除機など私たち日本人からすれば首をかしげてしまうようなものが飛ぶように売れた光景は、記憶に新しいのではないでしょうか。中国人ひとりあたりの買い物の予算は20万円ほどと、日本経済にとってはうれしいニュースになったことと思います。
しかし、少し違った形での中国人の「爆買い」は香港で起きています。中国からも近く交通の便のよい香港では、食糧品・日用品を買い求める中国人が殺到し、マナー違反などが問題になっています。中国で起きた粉ミルクへの有害物質混入事件以降、中国製品への不安が広がると、中国客が香港で粉ミルクを買い占め、香港市民が粉ミルクを買えなくなるなど、地域住民への影響が広がりました。また、駅の周りでは荷物を整理する姿が目立ち、ゴミも散らかし放大、マナーの低さが目立っているとのことです。
そのような行為を受けて、香港市民による抗議デモが強まっています。中国人へ粉ミルクを売る店の前では抗議活動をする人が集まり、日用品買い占めへの抗議や、日用品買占め反対に留まらず、香港の独立主張など溝は深まっているとみられています 。
世界中で中国人のマナーの悪さが問題になっている中、地域は違えど、同じ中国人からマナーの悪さを批判されるとは、なんとも皮肉ですね。
中国の国会にあたる全国人民代表大会でも「爆買い」が重要なテーマになったばかりです。李克強首相は「海外での消費を取り戻すために、中国産業のレベルアップが迫られる」と中国企業に品質向上を求めました。今回の出来事の根本的な原因である食の安全向上だけでなく、マナーの向上など、国内外から信頼を得られるよう、議論していくことが必要ではないでしょうか。
参考記事:23日付朝日新聞朝刊(東京13版)7面(国際面)「香港、中国へ高まる反発」