食卓に刺激を-機能性食品表示制度(齊藤駿也)

明日は4月1日。新年度がスタートし、世の中には新社会人や新制度があふれ出します。学生は学年も変わり、町の中に初々しさが少し感じられるような、そんな中で、私たちの生活に密接する食卓の場に表れる「機能性食品表示制度」、ご存知ですか?

この制度は、論文などの化学的な根拠を示せば、国の審査なしに、健康への効用を表示できる食品表示の新たな仕組みです。例えば、豆苗などの発芽野菜を販売する「村上農園」(広島市)は、「肝臓の機能をサポート」「胃の調子を整えます」と表示したブロッコリースプラウトの販売を計画。浜松市の三ヶ日町農協は、15年産のミカンから、骨粗しょう症のリスクを減らす効果を表示する予定だそうです。

食品の効能を表示する制度では、「特定保健用食品(トクホ)」になじみがある方も多いかもしれません。体脂肪が気になる方に、などと銘打ったウーロン茶やコーラ、類にもれず私も購入したことがあります。この春から始まる「機能性食品表示制度」は、どうやらトクホとは少し違うようです。

トクホは消費者庁が許可した内容に限り、2年前後の国の審査を経て私たちの目に触れます。これに対し、機能性食品表示は販売の60日前までに事業者が科学的論文などを添えて消費者庁に届け出れば、国の審査なしに効果を表示できるようになります。いわば「機能性食品表示制度」は、「トクホ」のハードル低い版かと、私はそう理解しました。ハードルが低いですから、表示されていることを全部信用しきってはいけません。そこは注意すべき点ですね。

この新制度の消費刺激効果で、日本の健康食品制度は10年で現在の5倍に拡大できると、日本チェーンドラッグストア協会は予測しています。現在2兆円の市場が10兆円規模になるとの予測です。今までにない新制度のスピーディーさが、消費者に与えられる影響として期待されているのかもしれません。これからますます私たちが目にする食品の現場は変貌をとげそうです。

新年度が始まり、なれない環境、なれない仕事、さまざまな新しいことで疲れがたまってしまいそうな、そんなあなた。今日の帰りがけ、近所のスーパーに寄って「あなたの疲れを癒してくれる」、そんな食べものと出会ってみませんか。

参考記事:3月31日付讀賣新聞(東京13版)

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