総選挙から考える ロンドンで再び起こったテロ

イギリスでは総選挙を前にテロが繰り返し起きています。今回のロンドンの事件では、わずか8分で警察が駆け付け、犯人を射殺するという異例の速さで事態は進みましたが、7人もの死者が出ました。EU離脱や総選挙を目前に控えているイギリスは今後どう動くのでしょうか。

メイ首相が「「EUからの離脱交渉を担うリーダーを問う」と位置づけた今回の総選挙では、各党がEU離脱について対照的な政策を示しています。与党の保守党はEUの単一市場や関税同盟などからの撤退は明確であるとして、EU側と自由貿易協定など「特別な関係を結ぶ」ことに重点をおいています。

労働党はEU離脱を受け入れるが単一市場などのアクセス権は維持したいとの見方です。自由民主党はEUにとどまる道を開きたいとしています。

また、総選挙を考える上で移民問題も重要です。保守党は、移民の増加を年間10万人に抑え、経済成長に必要な人材は確保し、イギリスにとって有益である人を厳選し、残すような考え方です。しかし、労働党は移民の受け入れに上限は設けず、EU離脱後には人種差別のない公平なルールを作ると主張しています。自由民主党は公共サービスに対応するための基金を創出するとして、移民の受け入れには前向きな姿勢です。イギリス独立党は移民の増加をゼロに抑えるとしています。

総選挙を目の前にしてイギリスは混乱していると考えざるを得ません。EU離脱や移民の問題について、総選挙を前にした国民はそれらの難題について、しっかりと整理して考える必要が出てきます。

英国人でありませんが、私自身はEU離脱には反対です。経済成長するためにはやはりヒトが必要であると考えるからです。また、仕事や会話もろくにできない人がたくさん入ってきたとしても、自由民主党のように公共サービスに基金を出すなどして対応することが必要であると考えます。元々税金を納めていた人達からみると、そのような移民のために国のお金を出したくはないとの反応もあるでしょう。しかし、差別のない、公平な社会の実現のために協力してほしいと考えます。

もちろん無秩序に移民が入ってきてしまうことには大きな問題をはらみます。読売新聞の記事では、実行犯は「アラー(神)のためだ」などと叫んでいたとの目撃証言もあるとされています。確かなことは言えませんが、様々な考え方を持っている人がイギリスに来やすくなってきているのが現状です。今回のテロ行為のような悲惨な事件を起こさないためには、英国市民も新たに加わった移民も、互いにさまざまな国や価値観を互いに受け入れ、尊重するということから始めるしかありません。

参考記事
5日付け 読売新聞朝刊 (13版)1面(総合)「英またテロ 7人死亡」