北朝鮮 ミサイル発射成功 新型か

 14日朝5時28分ごろ、北朝鮮が高度2000キロを超えるミサイルを日本海へと発射しました。平安北道亀城(クソン)付近から日本の排他的経済水域(EEZ)外側のロシア領近くに落下したとみられます。安倍首相は「北朝鮮に強く自制を求め、毅然と対応を対応する」と語りました。稲田防衛相は、「新型の弾道ミサイルだった可能性がある」と表明しました。そのうえで、発射角度を高くしてミサイルの落下速度を上げ、迎撃を難しくする「ロフテッド軌道」で発射された可能性も指摘しました。
 
 以前より高度、飛距離ともに伸びており、北朝鮮がめざす大陸間弾道ミサイル(ICBM)の技術開発が前進しているとの見方もあります。ただ、米太平洋軍は「ICBM の軌道ではない」との見解も発表しました。日本政府関係者は14日、弾道ミサイルが中距離弾道ミサイル「ムスダン」の改良型ではないかとの見方を示しました。
 
 北朝鮮は弾道ミサイルや核兵器の開発に金と時間を割いています。新型とみられるミサイルにもこのような努力の「成果」でしょう。北朝鮮の弾道ミサイルの発射は今年に入り、7回目です。失敗は成功の元と言われるように、4回連続で失敗した4月29日以来の発射で、今回は成功しました。私には武力によって他の国との差を埋めている印象があります。
 
 このような北朝鮮に対しアメリカがどう動くのかが気がかりです。戦争を起こし、勝利を収めることにより大統領の支持率が上がるのはブッシュ元大統領など、過去の大統領たちの例からもみて取れます。しかし、アメリカの核兵器は、いったん発射されると地球の半分を壊滅させるほどの力を持っています。これは北朝鮮の核兵器とは次元が違い、影響は地球規模に及びます。軽挙は許されません。
 
 そして、日本政府は昨年の8月から自衛隊に破壊措置命令を発令して警戒監視を続けていますが、今回のミサイルは日本に飛来する可能性がないと判断し、迎撃措置は取らず、全国瞬時警報アラーム「Jアラート」も作動させませんでした。このように日本も自衛隊を使って緊張の下、厳重な監視、防衛体制を引いています。
 
 日本に飛来する可能性がないという今回の判断は正しく、「Jアラート」を使用しないことは良かったのですが、このような判断の正確度をどう高めるかは試行錯誤の状態です。誤作動で良い訳ではありませんが、万が一に備えて「Jアラーム」を作動させ、逃げ道の確保や迎撃など、できる限りの防衛策を講じ、緊急事態に備えることこそ大切であると筆者は考えます。
 
 参考記事
 
 15日付 日本経済新聞(13版)1面(総合、政治)「北朝鮮がミサイル新型か」